ボクはちゅうしゃがとてもキライ。
 
 けんさにいくといつもちゅうしゃをされるから、びょういんにいく日が大キライ。
 けんさのへやには兄ちゃんはいっしょにきてくれないから、ボクはいつもひとりでおいしゃさんのとこにいく。
 でもちゅうしゃきを持ってるおいしゃさんにちゅうしゃはイヤだな、といったら、おいしゃさんはとなりにいたちいさな子をみておにいちゃんなんだからがんばらないとね、といった。となりの子はボクよりずっとちいさくて、どきどきしたかおでボクをみたから、ボクはうでまくりをしてちゅうしゃしてくださいっていったんだ。
 
 だってボクはおにいちゃんだから。
 おにいちゃんはがんばらなくちゃいけないから。
 
 おいしゃさんはえらいねっていってボクの血をとって、うーむ、といって、てんてきもしていこうねっていったからボクはほんとうはちょっと泣きたくなったんだけど、となりの子ががんばってちゅうしゃしてもらっているのをみたから、はいっていってベッドのほうにいった。
 
 てんてきはとってもいたかったけど、ボクはちょっとねむってうみのなかのゆめをみた。
 
 
 小さな魚がボクの身体に入り込んで、藻を食べている。
 ボクは潮に洗われてすっかり錆びてしまっていて、薄く脆くなった鉄板はところどころ穴が開いている。
 ボクの眼窩はもう光ってはいなくて、ああこれは、

 
 
 むかえにきた兄ちゃんにおこされて、ボクはおさかなのおうちになったゆめをみたっていったんだ。
 そうしたら兄ちゃんは、ちょっとわらって、でもなんだかこわいような目をして、もうそのゆめはみちゃダメだっていったから、ボクはうんっていって兄ちゃんと手をつないでかえった。
 いえについたらココアつくってやるからなって兄ちゃんがいって、ボクはうれしくなって、びょういんのろうかでスキップして兄ちゃんにおこられた。
 
 兄ちゃんのつくってくれたココアはリザさんがつくってくれるココアとちがってカップのさいごのとこにこながかたまってたけど、でもボクはとっても好きだから、のこさないでさいごまでちゃんとのんだ。
 
               ────ああこれは、死のイメージなのだな、と思った。

 

 
 
 

■2004/11/14

雑記に書いてたものです。ごみばこ行きにしようとしてたんですけど一応からっぽちゃんなのでこっちに持ってきました。
からっぽちゃんは基本的にほのぼので優しくて早朝の光のような仄明るい話にしたいのですが、背景に薄暗い部分があるのでこんなのに。
…やっぱりごみばこ行きのほうがよかったかな…。

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