100qとは二日ほど前に自分の執務室に突然開催された「なりきりカップリングに100の質問」という企画モノのことである。その後あんまり鋼のが、「あのときのなりきりカップリングに100の質問の」と繰り返すものだから、あのお子様だけでなく自分もすっかり略してつかうようになってしまった。
相手に選ばれたのが鋼の、というのに考えることも多かったが(なぜこういうときに限ってセントラルにいるんだ彼らは!)冒頭に、てらいなく素直にお答えくださいとの勧めどおりに妙に取り繕うことなく応えてしまった。
嘘を答えたつもりはない。別に聞かせて困るようなことをいったわけではないのだが。
ソレもコレも終えたというのにアレがうるさい。
「だってするのキライじゃないんだろ。Q64でいったじゃん」
「正直に答えたまでだ。だからといって回数を増やす言い訳にはならん」
「ケチー」
「君こそ私の意志を尊重するよなことを言ってたではないか。Q79のように」
「え、試していいの」
「試すな! 話題を摩り替えるな」
…いらんことを覚えている。
「そういやーさーQ43の質問って何だっけ」
記憶力はロイだって負けていない。答えそうになって言葉にする前に止めた。
「さあ覚えていない」
「ちぇー聞いてみたかったのに」
かなり追い詰めないと投げかけて頼み込んでも言ってくれない恋人にエドワードは唇を尖らせる。
エドワードは突然に予告も前触れもなく、当然何の心の準備もなく質問を受けた。
結果、どうも自分が思うより想われてるらしいと認識してホワンとなったが、と、同時に言外にいろいろと含めたようなニヤニヤ笑いにむっとなった。
全部が全部今の関係を否定するものではないらしいけど。そうらしいけど。
とりあえず口にはしなかったその部分をいつか絶対聞き出そう、と宵の明星に誓うのだった。
(兄さん迷惑だから止めてよ、と背中に視線を落とす弟の心の声)