錬成が終わるまで、ボクの身体は存在するよね。 ボクはとてもうきうきしている。鼻歌とか歌っちゃいそうだけど、誰かに聞かれて覗かれたら困るので、ただじっと黙ってこりこりこり、と線を引く。 あの日市場で買った材料はまるごといらない。代価はまるで必要無い。 だってボクはエリクシールだからね。 くすくす、と思わず笑ってしまう。ボクはうきうきしている。世界中の色が変わる。空気も光も水も大地も生き物も生きてはいないものも魂のあるものもないものもきらきらきらきら。 ボクはボクで全。ボクはボクで一。 ボクは流れ。ボクは世界。ボクは。 ───ボクはかみさまと等価。 「出来た」 がらん、とチョークを括った鉄パイプを放り捨てて、ボクは出来栄を眺め満足して頷いた。さあ、これでいい。 それでもう、兄さんは辛い旅なんかする必要がなくなる。 ボクはヒトに生まれ変わる。 くすくすくす、と笑ってしまう。ボクはうきうきしている。 世界の色が変わる。 きらきら。きらきら。きらきら。 ボクは両手を翳した。 「いきまーす」 ばしん。と弾けて。 世界の色が変わる。 きらきらきらきら、きらきらきらきら。 ────ぶつん、と音がして。 ボクの世界は真っ暗に。 |
■2006/3/9 水の中から「はーい!」て出て来たアル見て賢者の石になったアルは気が狂っているとか思ってつい書いてしまったもの。
初出:2004.09.29